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1.なぜ8割の企業がシステム導入に失敗するのか

ご存知でしょうか?システム開発の正否は準備段階で80%が決まります。

システム開発案件の8割が失敗する理由については、システム開発会社の開発姿勢の問題点をこのレポートに詳しく説明しました。ですので依頼者(顧客企業)が注意すべき点に絞って記載します。実はうまくいかないシステム導入にはある共通点があります。

うまくいかないシステム導入の共通点

システム導入を「物品調達」と同列に扱ってしまう。

システムというのは、組織があり、運用があり、企業をとりまく市場環境があり、それらの中で「生態系」として存在を成すものです。物品調達という発想で、ハコモノを入れる、単にシステムを外注する、という考え方では、当然立ち行かなくなります。

機能開発に目が行きすぎてしまう。

価値提供や問題解決の全体シナリオにシステムを落とし込むべきところ「さてどんなシステムを作ろうか」と主客転倒するケースです。目的が無いに等しいため作業が迷走します。

システムがブラックボックス化している。

上の逆ケースで、プランの中でシステムだけがブラックボックスとして孤立している場合もあります。ベンダに提案を頼んでも評価できないため、迷った挙句安い見積りを出したベンダに発注することになります。その場合、シナリオと整合性の取れたシステムが出来あがることはまず期待できません。

投資に対するリターンの期待値があいまい。

リターンをはっきりさせないと投資が縮小均衡になりがちで、効果を出せるところまでいかずに終わってしまうことがあります。物品調達の感覚で予算を組むと「どうしても安く」になってしまいます。リターンを数字で見込むのが難しければ、人材採用の視点で投資額を決めるべきです。

サービス稼働率に対しての指標があいまい。

サービス稼働率に対しての指標は経営マターですが、経営陣に対してはおろか、現場でもあいまいなケースが見受けられます。たとえばシステム稼働率が99.5%の場合、1ヶ月の停止時間はおおむね3時間です。このような概念をもとに影響度を考えるべきところ、かなり高価なインフラ費用を強いられている案件を数多く見受けます。


システム開発会社に対する質問事項を考えることは、依頼者にとっては「自分たちは何を発注するのか?」を自問自答することにつながります。下記の話しも参考にしていただけると幸いです。


どんな風にするのかまず決めること

システム開発の成否は準備段階で80%が決まります。
このことは、インターネットで検索すると、調査結果がアチコチに書かれています。
実際の集計はもっと控え目な数字ですが、私の感覚値でいえば80%です。

これは驚くべき数値です。普通にやればまず失敗するということです。

そして興味深いことに、開発したシステムが失敗に終わったとしても、そのシステムを開発した会社の技術レベルが低いということではありません。むしろ個々の技術者は非常に優秀といえます。システム開発で結果に大きな差を及ぼすのは、「開発対象となるシステムが備えるべき機能要件をどれだけ事前に想定できたか」に尽きます。
もっと分かりやすく言うと、「そもそもどんなシステムにしたいのか?」を決めることです。

この作業工程のことを「要件定義」といいます。

専門家の意見によると、要件定義力は発注側が備えるべき能力と言われていますが、社内に情報システム部門がある場合は別として、実際のケースに照らし合わせるとほとんど無理でしょう。

もっと身近にあることで例えるなら

これは、家造りに例えるとすぐに分かります。 「家を建てる」というイベントは一生のうちそう何度も巡り合うことはありません。
経験値と知識を蓄積するにも限度があります。それなのに施主であるあなたが、誰の手も借りずに、住まいのコンセプト作りから機能要件までを定めることができるでしょうか?

それは、おそらく無理です。ハウスメーカーや工務店、設計事務所など、まず専門家に相談することでしょう。そして専門家と打ち合わせを重ねながら、欲しい家の全体像や、絶対に満たしたい条件、逆にあきらめなければならないことと、が浮かび上がってくるはずなのです。

おそらく専門家に相談する前は、いろいろ想像や夢がたくさんあることでしょう。 「それぞれの間取りは広く取りたい」、「書斎が欲しい」、「子供にはそれぞれ専用の個室を持たせてあげたい」、「玄関ロビーは吹き抜けにしたい」、「台所は広く機能性豊かに…」、「お風呂はゆったり足が延ばせること」、「欧風なインテリアデザイン」、「バーベキューができる庭」など挙げればキリがありません。

ところが実際には、予算や引越期日の制約で、やりたいことのいくつかは現実と折り合いを付けざるを得なくなります。
そこで「まず優先順位を付けましょう」と専門家に言われると、「そもそもウチの家族にとって一番大事なことってなんだろう?」などと深く考えたりすることもあるはずです。そうやって専門家からほかの事例などを教わりながら、やり取りを重ねていくうちに、当初思い描いていたこととは、ずいぶんかけ離れたイメージが出来上がったりします。

つまり専門家から知恵やノウハウを得ながら、時には導かれながら、「そもそもどんな家にしたいのか?」を決めていくのです。これは家造りの現場では、普通に起こっている出来事です。

私が思いもよらない提案をしてくれた中古車屋さんの話

少し脱線しますが、つい最近、私が感心した出来事があります。

中古車を探していたときのことです。私が住んでいる地域は、最寄駅から20分ほど離れていることや、郊外型のショッピングセンターが発達していることより、日常生活のうえで車が必須です。しかし私が車で出かけてしまうことが多いため、家内が買い物などに自由に使えるためにもう一台が必要でした。

目的からして、欲しいのは中古の軽自動車です。そこでインターネットで下調べをしたうえで、3件の店を廻りました。
そして3件目の店でのことです。

営業所の若い営業マンは、私が予め伝えてた要望にそって、その条件に合う車を紹介してくれました。
ここまでは今までの2件の店と同じ対応です。そこで試乗してみて思ったのは、「まあどれも似たり寄ったりだな」という感想です。どうもいまいちピンとこないが、そろそろどれかに決めなきゃと感じ始めていました。

営業マンの彼にも、思ったとおりのことを告げました。
そこからの彼の対応が見事でした。

「この車種は新古車がけっこう出まわっているのですよ、よかったら見てみませんか?」

彼は中古車を探しに来た私に、新古車を薦めてきたのです。で、実際に見てみると、予算は15万円ほど上ブレしますが、けっして悪くはないと思いました。いや、それどころか、自分のニーズにぴったりだと思いました。
そしてその場ですぐ契約に至ったのです。

私が、中古車が欲しいという要望を掲げていたのにかかわらず、前のオーナーが残した汚れを気にしていたり、ワングレード上のモデルを探しているような節を、その若い営業マンは見抜いたのかも知れません。 (もしかすれば彼は、単に新古車の在庫を抱えていただけかもしれませんが…)

そこで、新古車という新たな選択枝を示してくれたわけです。
つまり彼は、私が気付いていないことを気付かせてくれる人だったのです。
このように自分自身がお客になったときのユーザ体験を通して、私はとても貴重なことを学びました。それは自分の潜在ニーズを引き出してくれる人は、とてもありがたいということです。




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