利活用という言い回しの不思議

2015/04/06

「利活用」という言葉を耳にする機会が増えていますが、その言葉に違和感を感じたことはありませんか? この表現は「利用」と「活用」を組み合わせた造語で、特に行政文書で多用されているのが特徴です。

利活用

たとえば、Weblio辞書では「利活用」を「利用」と「活用」を掛け合わせた言葉と定義し、「土地の利活用」や「ITの利活用」のように使われると説明されています。行政用語として「お役所言葉」に該当する、という解説も付け加えられています。

「利用」と「活用」2つの言葉の意味を掛け合わせた言葉。「土地の利活用」、「ITの利活用」といった具合に使われる。「整備文」の中で主に使われる、お役所言葉。

また、Yahoo!知恵袋では「利活用」について、「利用と活用を組み合わせた造語で、特に深く考えずに使われている」との指摘や、「何かを無駄にしていないように見せるための表現ではないか」といった意見も見受けられます。

利用と活用を合体させて、お役所言葉ですので、真剣に考えない方がよいでしょう。
利用、でも、活用、でもいいことです。
お役所言葉のウラの意味は「せっかく作った○○を、ムダには見えないように、一生懸命利用・活用されれているように見せること」というようなことでしょうか。

同じくYahoo知恵袋です。

利用も活用も似たような意味ではあるけれど、「活用」の方が一層上手に能力をフルに引き出してあげている、と感じる人が多いと思います。わざわざ利用+活用と合体する意図としては、「単に利用してもらうだけでももちろん結構なのだけれど、更に”活用”のレベルまで使いきっていただけたら嬉しいんです」みたいな語感にしたいのでしょうね。

「利用」と「活用」は似た意味を持ちながらも、「活用」のほうがより効果的で、潜在的な力を引き出しているイメージを持つ人が多いようです。そのため、「利活用」という言葉には「ただ使うだけでなく、もっと積極的に役立てる」というメッセージが込められている可能性があります。

特に行政が発信する「ITの利活用」という表現は、「導入したITシステムを無駄にせず、より積極的に使いこなしてほしい」という意図を反映しているのではないでしょうか。実際、多くのITプロジェクトは予想以上に時間やコストがかかり、期待通りの成果を出せないケースが少なくありません。しかし、その失敗要因は明らかになっており、適切な方法を取れば成功率を上げることができます。

「ITを効果的に活用している企業」では、そもそも「利活用」という表現が不要かもしれません。この言葉が使われる背景には、まだITの活用が十分ではない現状が含まれていると考えられます。逆にうまく利活用できているケースも紹介いたします。「利活用」の真骨頂という参考になれば幸いです。

この記事を書いた人について

谷尾 薫
谷尾 薫
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事

富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。