システム開発は外注した方が良い?メリットデメリットや外注を成功させる5つのポイントを解説

2025/03/31

企業にとって重要な仕事のひとつであるシステム開発は、自社で行わずに外注することが可能です。本記事では、システム開発を外注することで生じるメリットやデメリット、成功させるポイントなどについて解説します。

最後におすすめの外注先も紹介しますので、システム開発の外注を考えている企業の方は、ぜひ参考にしてください。

システム開発の外注と内製とは?

まずは、システム開発の外注と内製の違いについて紹介します。システム開発を行っていく上で、押さえておくべきポイントです。

どちらで開発を進める場合であっても、システムを完成させられる点は共通しています。しかし、それぞれにメリットやデメリットがあるため、システム開発を行う前に両者の特徴を理解しておくと良いでしょう。

外注とは?

外注とは、システム開発を自社以外の企業に依頼することです。外注は、まずいくつかの候補となる企業へ見積もりを依頼します。候補の中から、自社の目的や要望に合った企業を選択し、契約を結ぶ流れです。

外注すると、外注先の企業の担当者がシステム開発を行います。契約内容によっては、プログラミング以外に要件定義の設定やプロダクト、リリース後の保守点検などの一連の業務を行ってくれます。

内製とは?

内製とは、システム開発を自社で実施することです。システムの開発から保守、運用、改善を自分たちで担います。内製で進める場合は、開発を担当するメンバーを集めて、プロジェクトを立ち上げ、自社のエンジニアへ依頼をします。

内製の場合は、エンジニアだけでなく、プロジェクトのリーダーや事務を行う従業員なども必要です。自社にエンジニアが不足している場合は、子会社やグループ会社へ依頼することもあります。

システム開発を外注するメリットとデメリット

ここからは、システム開発を外注することで生じるメリットとデメリットを紹介します。

外注するメリット

まずは、システム開発を外注することで生じるメリットを紹介します。今回紹介するメリットは、以下の3つです。

  • 専門的な知識や技術を借りることができる
  • リソースの調整を柔軟に行うことができる
  • 人件費や教育費用の削減に繋がる

それぞれ、詳しく解説します。

専門的な知識や技術を借りることができる

システム開発を外注することで、プロの専門家による知識や技術を借りることが可能です。昨今では技術環境は急激に進化しており、さまざまな技術やフレームワークが登場しています。

自社だけですべての技術に対応することは難しく、短い期間で技術的に追いつくことは難しいでしょう。一方、外注先はシステム開発の経験が豊富なため、一般的な落とし穴や実装方法についての判断も的確です。

リソースの調整を柔軟に行うことができる

システム開発の外注は、リソースの調整を柔軟に行えるメリットもあります。プロジェクトの局面や要件に応じて、開発者の数を増減させることが容易です。たとえば、プロジェクトの初期段階では少人数で設計を行い、開発段階では多くのスタッフを追加するといった方法になります。

また、一時的に特定の技術が必要な場合や、繁忙期を手助けするために追加のリソースが必要な場合なども、迅速に対応することが可能です。

人件費や教育費用の削減に繋がる

システム開発を外注すると、人件費や教育費用の削減が可能です。自社でシステム開発を行う場合は、人件費や教育費用、関連する福利厚生などのコストがかかります。外注であれば、プロジェクトの規模や期間に合わせたリソースを確保できるため、無駄が少なくなります。

戦略的に外注を利用することで、開発にかかるコストの大幅な削減に繋がるのです。

外注するデメリット

続いて、外注することで生じるデメリットについて紹介します。今回紹介するデメリットは、以下の3つです。

  • 社内に技術的なノウハウが蓄積されにくい
  • コストが増加するリスクがある
  • 情報漏洩のリスクがある

社内に技術的なノウハウが蓄積されにくい

システム開発を外注する場合、プロジェクトの詳細は外注先の企業が主導します。そのため、自社のスタッフに深く共有されず、取り残されてしまう可能性があります。

また、社内に技術的なノウハウが蓄積されていないため、次にシステムを開発する際も、外注先へ依存する形になる可能性が高いです。

コストが増加するリスクがある

システム開発の外注には、コストの変動リスクがあります。はじめにもらった見積もりと、実際のコストが異なる可能性があるということです。

見積もりや契約の段階では想定していなかったトラブルが発生したり、要件が追加されたりすることによって、追加のコストが発生する可能性があります。また、コミュニケーション不足による修正や再作業なども、コストが増加する原因です。

情報漏洩のリスクがある

システム開発を外注するとなると、社内の情報を外部へ伝えなければいけません。情報を提供することで、漏洩や不正アクセスなどのトラブルが起こる可能性は高くなります。

特に、顧客のデータや社内の機密事項などの重要な情報は、慎重に取り扱うことが必須です。外注する企業が、情報の管理を十分に行っているかを事前に確認しておくと良いでしょう。

システム開発を内製するメリットとデメリット

ここからは、システム開発を内製することで生じるメリットとデメリットについて紹介します。

内製するメリット

システム開発を内製すると、従業員が共有すべき情報が伝達しやすく、業務をスムーズに行うことが可能です。情報漏洩のリスクも少なく、安心して業務を行えます。

また、システム開発を行うことで得られる知見やノウハウも共有しやすく、財産として蓄積できます。また同じような開発を行う際に、役立てることが可能でしょう。さらに、システム開発が成功した場合、金銭的なコストを抑えられる点もメリットと言えます。

内製するデメリット

システム開発を内製した場合、社内に十分なスキルや経験を持つエンジニアや、IT全般に精通した人材がいないと、プロジェクトの進行に支障が出る可能性があります。たとえば、技術的な判断ミスや設計の見直しが発生したり、想定外のトラブルで開発が遅延することもあります。その結果、当初の予算を超えてしまうなど、余計なコストや手間がかかってしまうことがあるのです。

また、普段からシステム開発を行っていない企業の場合、適した人材を確保しにくいでしょう。さらに、システムが無事に完成したあと、スキルを得たエンジニアが活躍できる場所が無くなってしまう可能性もあります。

システム開発の外注がおすすめな企業の特徴

続いて、システム開発の外注がおすすめな企業の特徴を紹介します。今回紹介する特徴は、以下の通りです。

  • システム開発のノウハウがない場合
  • 大規模なシステム開発を計画する場合
  • 期間限定のプロジェクトを実行する場合
  • システム開発を自社で行ったがさらに効率よくしたい場合
  • 自社で使用しているシステムが老朽化しリプレイスが必要な場合

 

それぞれ、詳しく解説します。

システム開発のノウハウがない場合

社内にシステム開発に詳しいエンジニアがいなかったり、IT関連の知識が少なかったりする場合は、外注する方が効率が良いでしょう。

社内で一からエンジニアを育成したり、新たに採用したりするとなると、膨大な時間と費用が発生します。また、エンジニア以外にも、マネジメントができる人材の教育や育成も必要です。

一方、システム開発会社のスタッフは、知識やスキル、経験が豊富なため、ノウハウに関する心配は不要です。自社だけでは思い付かないような、要件定義を発案してくれる可能性もあります。さらに、ITのプロフェッショナルのため、情報セキュリティ対策もしっかり行ってくれるでしょう。

大規模なシステム開発を計画する場合

システム開発の規模が大きくなればなるほど、プログラミングの技術はもちろん、マネジメントやコミュニケーションスキルに関しても高度なスキルが求められます。

また、必要な技術者も増えていきます。そのため、自社に担当者が数名の場合などは、外注を選ばなければならないでしょう。

期間限定のプロジェクトを実行する場合

一時的な開発プロジェクトや、短期間で特定のタスクを実行しなければいけない場合、外注することですぐにスキルを持っている人材を確保できます。プロジェクトが終了したあとの人員調整や、余ったリソースなどの問題を避けることが可能です。

システム開発を自社で行ったがさらに効率よくしたい場合

システム開発の効率をよくしたい場合、自社のスタッフだけで進行しても問題はありません。しかし、余計なコストがかかる可能性があります。

自社でプロジェクトを進めた状態で外注すれば、短い時間で進行できる可能性が高いです。また、自社で行うよりもコストを安く抑えられるでしょう。

自社で使用しているシステムが老朽化しリプレイスが必要な場合

リプレイスは、システム全体を取り替えなければならず、大規模なプロジェクトになる可能性があります。大規模になる場合、高度な技術やマネジメント力が必要です。

また、成功したあとも定期的に点検をしなければいけません。点検の際にトラブルが発生した場合は、すぐに対応する必要があります。リプレイス後の点検や運用は、外注した方が自社の負担を軽くできるでしょう。

システム開発を外注する会社を選ぶ際の4つのポイント

ここからは、システム開発を外注する会社を選ぶ際のポイントを紹介します。今回紹介するポイントは、以下の4点です。

  • システム開発担当者とスムーズに意思疎通できるか
  • 開発実績は豊富にあるか
  • どこまでフォローがあるか
  • 自社の課題を解決してくれるか

システム開発担当者とスムーズに意思疎通できるか

外注先を選ぶ場合、まずは担当者とスムーズにコミュニケーションをとれるかどうかが重要です。システム開発は、ITの知識やスキルが必要なのは当たり前ですが、コミュニケーションスキルも必要です。チームを上手にまとめたり、スムーズに情報を伝達したりすることが大切になります。

そのため、外注する場合は担当者と密に話をして、スムーズに意思疎通できるかどうかを確認しておきましょう。

開発実績は豊富にあるか

システム開発会社によって、得意な分野や特徴はさまざまです。会社の公式サイトを見て、自社と類似の開発実績があるかどうかを確認しましょう。歴史が長いシステム開発会社であっても、自社と類似の実績がなければ、候補から外した方が良い可能性が高いです。

会社の公式サイトで調べられない場合は、会社に直接「確認依頼書」を送って、基本情報や開発実績などの記入を依頼することが可能です。

どこまでフォローがあるか

外注先によって、フォローの内容が異なるため、具体的に確認しておきましょう。要件定義の決定やプログラミング、動作の確認、リリース後の保守・点検、運用など、さまざまな工程を支援してくれるかどうかは、会社によって異なります。

また、希望する条件によっては、支援を断られる可能性があります。自社が希望する条件をどうしても満たしたい場合は、依頼前に確認することが重要です。

自社の課題を解決してくれるか

システム開発における自社の課題に対して、きちんと解決してくれるかどうかも重要です。テンプレートに当てはめたような提案ではなく、自社の細かい要望やニーズを汲み取って、柔軟性のある提案をしてくれる外注先を選びましょう。

プランが定型化しているような外注先の場合、自社の課題とは関係ない部分が含まれた契約内容になる可能性があります。必要のない費用が発生してしまうので、十分に検討することが重要です。

システム開発の外注を成功させる5つのポイント

続いて、システム開発の外注を成功させる5つのポイントを紹介します。外注を考えている企業の方は、以下の内容を参考にしてください。

自社が作りたいシステムを明確にする

システム開発を外注する前に、自社が作りたいシステムを明確にして、具体的に説明できる状態にしておきましょう。内容が明確になっていないと、スケジュールやプランが立てられなくなってしまいます。

また、精度の高い要件定義の設定は難しくなり、完成物のクオリティが下がってしまう可能性があります。そのため、外注する前に作りたいシステムを明確にしておきましょう。

予算に保守・運用費用を入れる

外注する場合は、システムが完成するまでの費用以外にも、完成後の保守・運用費用を予算に入れておきましょう。システムは完成したら終わりではなく、定期的な点検や保守、トラブルが発生した場合の対応が必要です。

トラブルが発生した場合、自社に対応できる人材がいないと、外注先に依頼する必要があります。さらに保守・運用の費用が発生してしまうため、あらかじめ予算に入れておきましょう。

契約内容をしっかり確認しておく

外注先と契約を締結する際は、契約内容をしっかり確認しておきましょう。外注の契約には、システムの成果物に対して報酬を支払う「請負契約」と、外注先のスタッフの労働に対して報酬を支払う「準委任契約」の2種類があります。

システム開発は請負契約が多いですが、システムの保守・運用は準委任契約が多い傾向です。また、機密保持契約の締結も必要になります。知的財産権の帰属先や、トラブルが発生した場合の責任がどちらにあるかを確認しておくことが大切です。

要件定義書の内容をしっかり確認する

外注先が作成した要件定義書の内容を確認しておくことも重要です。要件定義書とは、自社が用意した提案依頼書をもとに、システム会社が構築内容や工程などを記したもので、システムを設計する土台となるため、非常に重要です。

要件定義書に誤りがあると、開発が失敗する可能性があります。そのため、あらかじめ内容をしっかり確認し、誤りがないかどうかをチェックしておきましょう。

発注者もプロジェクトに関わりながら進める

システム開発を外注したからといって、外注先に丸投げしてはいけません。発注した自社にいる人材もプロジェクトに関わり、一緒に進める必要があります。システム開発は、一般的に工程ごとに作業を完了させるため、後戻りすることが不可能です。そのため、各工程を失敗せずに作業しなければいけません。

自社の知識がないスタッフだけで作業を進めると、失敗の確率は高くなります。発注者も一緒に進めることで、スムーズにシステム開発できるでしょう。

システム開発を外注する流れや費用相場

最後に、システム開発を外注する流れや費用相場について紹介します。最後までチェックして、外注する際の参考にしてください。

システム開発を外注する流れ

システム開発を外注する流れは、以下のようになります。

  1. 外注先の選定(提案依頼書を提出する)
  2. 要件定義
  3. 設計
  4. プログラミング
  5. テスト
  6. 納品
  7. 保守・運用

外注先を選定する場合は、提案依頼書を作成して提出しなければいけません。作りたいシステムの内容や、希望納期などを決めることが必要です。希望をしっかり伝えておかないと、のちのちトラブルが発生したり、開発が希望通り進行しなかったりする可能性があります。

そのため、依頼する段階で自社の希望をしっかりと伝えましょう。また、候補先の企業すべてに提案依頼書を提出し、相見積もりをとることも大切です。自社の希望に適した企業を選べるようにしましょう。

システム開発を外注する費用相場

システム開発を外注する場合の費用は、大きく分けて人件費と設備費の2種類です。それぞれの費用相場を知っておくことで、外注する企業を選ぶ際の参考になるはずです。

人件費

人件費は、それぞれの工程にかかる「工数×単価」にエンジニアの単価をかけて計算します。工数とは、1人が1日8時間、20日働いたときを1として考えたときの数値で、プロジェクトの規模の大きさによって異なります。

また、難しい工程を担当するエンジニアの方が、単価が高い傾向です。たとえば、プログラミングを担当するエンジニアは月70万円から、設計を担当するエンジニアは月100万円からが相場になります。

設備費

設備費は、サーバーやハードウェア、セキュリティライセンスなどが当てはまります。システムを最初から構築する場合の設備費は、合計で数百万円から数千万円と幅広い相場です。

依頼内容によって設備費は異なるため、あとから「思っていたよりも費用がかかってしまった」とならないように、見積もり内容をしっかりと確認しましょう。

システム開発なら、オーシャン・アンド・パートナーズにお任せ

今回は、システム開発をする際の内製と外注のメリット・デメリット、外注をする際の流れ、外注を成功させるためのポイントなどを紹介しました。実際に外注先を選ぶ際は、今回紹介したポイントを踏まえて探すと良いでしょう。

また、システム開発をITに関する知識を熟知したプロに外注をしたい場合は、ぜひオーシャン・アンド・パートナーズにお気軽にお問い合わせください。

また、今回の内容についてもっと知りたい方はぜひ下記もご覧ください。

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この記事を書いた人について

神川智子
神川智子
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社

一児の母として子育てに奮闘しながら、オーシャン・アンド・パートナーズの代表者および技術チームメンバーの補佐に従事。
実務の現場に寄り添い、日々の会話や支援を通して見えてきた“リアル”を、等身大の視点でお届けしています。