システム開発の要件定義とは?要件定義書作成の流れや上手く進める7つのポイント・必要なスキルを解説

2025/03/27


システム開発を成功させるには 「要件定義」が欠かせません。
要件定義とは、開発前にユーザーの要求を整理し、具体的な機能や性能を明確にする工程です。これが曖昧だと、後々の手戻りやトラブルの原因になります。
本記事では、要件定義の基本から流れ、スムーズに進めるための7つのポイント、必要なスキルまで詳しく解説します。
これからシステム開発に携わる方は、ぜひ参考にしてください。

システム開発の要件定義とは?

システム開発における要件定義とは、発注側が提示するシステム化計画や提案依頼書(RFP)を基に、必要な機能や性能、運用・保守条件などを明確にし、関係者間で合意した内容を文書化する作業です。
要件定義は本格的な開発に入る前の重要な工程であり、ユーザーの要求を具体的な機能や性能に落とし込みます。

この段階で業務フローやシナリオを設計し、プロジェクトの方向性を定めることが成功の鍵となります。途中で仕様変更が発生してもブレない軸を持つ要件定義は、システムの品質とプロジェクト全体の成功に直結します。

システム開発の要件定義と要求定義や基本設計の違い

要件定義と基本設計は、システム開発における重要な工程です。
要件定義はクライアントの要求をもとに、実装すべき機能や性能を決める作業で、機能要件や非機能要件、導入計画、スケジュールなどを定めます。

一方、基本設計は要件定義を具体化し、画面レイアウトやER図、システムインターフェースなどの外部仕様を設計します。
要件定義が「何を作るか」を決めるのに対し、基本設計は「どう作るか」を具体化する役割を担います

要件定義と要求定義の違い

「要求定義書」と「要件定義書」は混同されがちですが、それぞれ目的と役割が異なります。

要求定義書とは、システムに対する顧客の「やりたいこと」や「実現したいこと」をまとめたものです。
この文書は、発注者である顧客が主体となって作成します。
この工程では、顧客が「システムにどんな機能や役割を求めているのか」を整理し、具体的な要望や期待を明確にします。

一方で、要件定義書は、そのやりたいことを実現するために必要な「理想的なシステム像」を具体的に落とし込んだ文書です。開発側が作成し、機能要件や非機能要件を整理して、予算や納期といった制約を考慮しながら、実現可能なシステム要件へと具体化します。要件定義は顧客の要望を引き出す工程になります。

また、要件定義はそれを基に設計可能な仕様へと変換する作業です。
両者の連携がスムーズでないと、開発遅延やトラブルの原因となるため、丁寧なヒアリングと適切な要件整理が重要です。

要件定義と基本設計の違い

システム開発における上流工程の中心となるのが要件定義と基本設計です。
これらはプロジェクトの初期段階で行われ、開発全体の効率やチームのパフォーマンスに大きく影響します。要件定義では、開発者の視点から「どの機能を実装するか」「どのような作業が必要か」を決定します。

一方で、基本設計は要件定義をもとに、システムの仕様をより具体的に設計する工程です。基本設計では、システムを機能ごとに分割し、画面(UI)の構成や出力ファイル、処理内容などを詳細に設計します。この段階で作成される機能一覧やネットワーク構成図といった成果物は、プロジェクトの指針となります。

基本設計が完了すると、次は詳細設計、製造、テストといった工程へと進みます。この段階はクライアントと完成イメージをすり合わせる最後のタイミングでもあるため、認識のズレが起きないように、綿密な打ち合わせが欠かせません。

システム開発の要件定義書で定義すべき内容

〜ここより以下の内容は、エンジニア向けの記事となります〜

要件定義は「要件定義書」として文書化することが重要です。これにより、後から「言った・言わない」といったトラブルを防ぎます。

要件定義書をもとにシステムやWebの設計が行われるため、この段階で関係者と合意を取る必要があります。受託側は無理な要望には明確に対応不可と伝えることが大切です。

また、ユーザーも確認するため、専門用語を避け、分かりやすい表現で作成しましょう。要件定義書には、機能要件・非機能要件・サイト要件・インフラ要件・セキュリティ要件などを明確に記載し、矛盾なく作成することが求められます。

機能要件

機能要件とは、「必ず実装すべき機能」のことで、システムの核心部分を指します。ユーザーの「これができなければ困る」という直接的なニーズに基づいており、比較的簡単に決まることが多いです。

機能要件は「できて当たり前」の最低限のラインとして定義され、これを明確にすることで、プロジェクト全体のスケジュールもおおよそ決まります。

非機能要件

非機能要件は、システムの機能以外の重要な部分を指し、保守性やセキュリティ、可用性などが含まれます。非機能要件がユーザーの期待に応えるものであれば、ユーザーの評価は得られますが、使っていくうちに不満が生じることもあります。

例えば、画面表示が遅かったり、デバイス間の連携が不十分だと、ユーザーの満足度は低下するでしょう。非機能要件は一見目立ちにくく、直接的な評価に繋がりにくいものの、これが充実していれば、ユーザーの満足度が向上し、長期的な利用や新たな発注につながる可能性が高まります。

非機能要件は、システムを支える質の部分であり、ユーザーの隠れた要望を満たす重要な要素です。

サイト要件

サイト要件はWebサイトの要件定義で、ターゲット層や利用端末、ブラウザ、OS、SEO対策などを明確にすることが重要です。

Webサイトは企業スタッフではなく、外部ユーザーにアクセスしてもらうことが目的なので、ユーザーのニーズに合わせた要件を定める必要があります。

インフラ要件

インフラ要件は、システムを支える重要な部分で、サーバ、データベース(DB)、SSL証明書、ネットワーク環境などを含みます。

これらの要件はシステムのパフォーマンスやセキュリティに直結するため、慎重に選定する必要があります。高性能なインフラを選ぶと、当然その分コストも増加傾向になるでしょう。

ユーザーの要望を踏まえ、性能や可用性、セキュリティのバランスを考えながら、メリットとデメリットを説明し、最適な選択をしていくことが求められます。

セキュリティ要件

セキュリティ要件は、システムを安全に運用するために開発の初期段階で設定するセキュリティに関する目標です。

機密情報を扱うため、情報漏洩やウイルス感染などのリスクを避けるためにも、セキュリティ要件は非常に重要です。予想される攻撃手法に対して、どのように防御するかを考慮し、さまざまなセキュリティリスクに対応できるシステムを構築するために欠かせない要素です。

システム開発の要件定義書作成の流れ

要件定義書は開発者が作成しますが、クライアントとの密な連携が重要です。
システム開発の成功には、双方の細やかなコミュニケーションが不可欠です。適切な要件定義を行うためには、正しい手順を理解し、段階的に進めることが求められます。

ここでは、その具体的な進行方法について説明します。

利用するユーザーにヒアリングを行う

要件定義は、まずクライアントとの詳細なヒアリングから始まります。
この段階では、クライアントの業務内容や課題、新しいシステムに対する期待をしっかりと理解することが重要です。開発者は、クライアントの事業目標やビジョンを深く理解し、その上でシステム要件を正確に決定することが求められます。

通常、営業部門がユーザーとのヒアリングを担当します。要件定義の目的は、ユーザーの要望をシステム設計に反映させ、それを具体的な要件に落とし込むことです。ただし、要望をそのまま受け入れるのではなく、実現の可能性を慎重に評価することが大切です。

さらに、開発スケジュールの作成や代替案の提案など、柔軟な対応が求められます。ユーザーの要求を漏れなく、具体的に、そして明確にヒアリングすることが、このプロセスでは非常に重要です。

要求内容を分析する

要件定義のプロセスでは、ヒアリングで得た情報を基にユーザーと協力して優先順位を決定します。システム開発における要件は大きく以下の2つに分けられます。

・必須要件:実装が必須の機能や要素
・希望要件:可能であれば実装したい機能や要素

ユーザーの要求を細かく分類することで、要望の漏れを防ぎつつプロジェクトをスムーズに進行できます。こうした要求と要件の詳細な定義は、全体のスケジュールを明確にし、プロジェクト成功の可能性を高めます。

また、開発者はこの段階で機能要件と非機能要件を明確にし、システム設計の基本方針を決定します。その際、技術的な実現可能性やコスト、開発期間などの制約を考慮しつつ、具体的な要件の見直しをしましょう。

最終的な目標を明確化する

システムの課題や目標が明確になった後は、システム全体の構成や概要を決定します。

この段階では、具体的な設計や使用するプログラミング言語については触れず、システムの全体像を整理することに集中します。具体的には、ビジネスプロセス図や業務フロー図、システム化業務フローを作成し、視覚的にわかりやすく伝えることが重要です。

次に、プロジェクトの具体的な内容を決定します。
この段階では、予算、スケジュール、メンバーを決定し、設計や開発テストに必要な人月や進行方法を把握します。要件定義の段階で作業内容がある程度把握できていれば、プロジェクト計画がスムーズに立てられるでしょう。

逆に、内容が不明確な場合、開発中にリソース不足のリスクが高くなるため、十分に注意が必要です。

システム全体の構成や内容を決める

課題や目標が明確になった後は、システム全体の構成や概要を決定します。
この段階では、具体的な設計やプログラミングには触れず、ビジネスプロセス図や業務フロー図を作成して、視覚的に整理することが重要です。

その後、予算、スケジュール、メンバーを確定し、設計や開発テストに必要な人月や進行方法を把握します。要件定義の段階で作業内容が具体的にイメージできていれば、適切なプロジェクト計画が立てられるでしょう。

逆に、内容が不明確なままだとリソース不足に陥る可能性が高くなるため、十分な注意が必要です。

機能要件定義をまとめる

システム全体像が把握できた後は、次に機能要件定義を行います。機能要件定義は、システム導入後の業務効率に大きく影響するため、慎重に進めることが求められます。具体的な設計は後の段階で行いますが、要件定義の段階で必要な機能の概要を整理しておくことが重要です。

これにより、開発予算、メンバー数、スケジュールに大きな影響を与える要素を事前に把握できます。また、予算や納期に合わせて、機能ごとの優先順位を明確にすることも大切です。

機能要件では、システムが持つべき機能や操作手順をリスト化し、それに優先順位をつけて整理します。さらに、ユースケース図やワイヤーフレームを活用して視覚的に整理することで、要件に対する理解を深めることができます。

非機能要件定義を行う

非機能要件定義は、システムの性能、拡張性、運用・保守、セキュリティなど、機能以外の重要な要素を決定することです。

例えば、画面デザインやウイルス対策も非機能要件に含まれます。
具体的には、検索速度や業務処理の効率、障害発生時の復旧時間など、システムの品質に影響を与える要素が該当し、最終的にはユーザーの満足度に大きく関わります。

また、将来的なビジネスの変化に柔軟に対応できるよう、拡張性を考慮することも重要です。

プロジェクト内容の決定を行う

この段階では、予算、スケジュール、チームを確定し、各工程に必要な人数や進行方法を明確にします。マイルストーンや納期、リソースの割り当てを考慮し、現実的な計画を立てることが重要です。

また、リスク対策やアクションプランを事前に準備しておくことも求められます。要件定義段階で作業内容が具体化されていれば、計画を立てる際にスムーズに進められますが、要件が不明確だとリソース不足などのリスクが高くなるため、十分な注意が必要です。

決まった内容をもとに要件定義書を完成させる

要件定義書は、これまで決定した内容を文書化し、開発チームや発注者と共有するために作成されます。主な項目は以下の通りです。

・目的:システム導入の目的や解決すべき課題、達成すべき目標を明確に記述
・導入環境:必要となるハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベース環境について記述
・現状の問題点:現在の業務やシステムの課題を具体的に整理
・全体像:システムの概要、構成、ユーザーの流れを説明
・機能要件:必要な機能、操作内容、データ処理の詳細を定義
・非機能要件:性能やセキュリティに関する要件を記述
・工数と予算:作業量や費用の見積もり、規模や管理の参考となる情報
・スケジュール:タスクの順序やマイルストーンを計画
・メンバーと役割:関係者と各自の担当を明記
・連絡方法:連絡手段や進捗報告の頻度を決定

このように、関係者間で要件を正確に共有し、開発が円滑に進むようにすることができます。

システム開発の要件定義を上手く進める7つのポイント

①役割分担を明確にする

要件定義をシステム開発会社側で進めるには、ユーザーに現行業務の洗い出しを協力してもらうことが不可欠です。開発会社任せにすると進行が遅れる恐れがあるため、ユーザーとシステム開発側で明確に役割を分担することが重要です。最初にタスクを細分化し、各プロジェクトごとに担当者を割り当てることで責任範囲が明確になり、作業が効率的に進行しやすくなります。

システム開発に限らず、仕事は担当者ごとに役割が分かれているため、「この作業はあの人でないと分からない」といった状況が発生しがちです。開発においても、タスクごとに担当が決まっているため、その人が不在だと作業が止まるリスクがあります。こうした属人化を防ぐために、情報共有とドキュメント管理を徹底することが重要です。

②ユーザーの現行システムの中身を把握する

システム開発が業務改善を目的とする場合、現行システムの確認は不可欠です。
影響を避けるため、仕様調査を慎重に行い、問題点や改善点を明確にしておきます。新しいシステムでも、業務フローや既存システムを確認することが重要です。ユーザーの理想に偏らず、システム全体を俯瞰することで無駄や漏れを防げます。

現行システムの課題を把握することが、新システムの品質向上に繋がりま

③5W2Hを意識してヒアリングを行う

業務要件ヒアリングは、システム開発の重要なステップです。
5W2Hを意識して、以下のポイントを確認します。

・Why(なぜ):システム化の理由と目的
・What(何を):解決すべき課題や実現内容
・Where(どこで):開発範囲と業務領域
・Who(誰が):利用者や運用担当者
・When(いつまでに):開発完了期限や導入時期
・How(どのように):具体的な実現方法
・How much(いくら):予算規模

ITに詳しくない担当者がいることを考慮し、専門用語を避け、図表やサンプルを活用して分かりやすく進めましょう。

④ユーザーの要求と要件定義書の擦り合わせを行う

要件定義は通常、少人数で進め、その後設計段階でメンバーが増えることが一般的です。要件定義を行った会社と設計を担当する会社が異なる場合もあります。
作成した要件定義書は共有するだけでなく、関係者を集めて擦り合わせを行い、背景や仕様の経緯も説明して認識のズレを防ぐことが重要です。

また、システム導入後の業務フローの変化を説明し、大きな変更にはフローチャートを使って視覚的に伝えると効果的です。擦り合わせをすることで、要件定義書の不備や漏れを見つけやすくなります。ユーザーの要求と定義書にズレがあると、開発後に認識違いが発覚し、納期遅延を招く可能性があるため、慎重に調整することが求められます。

⑤基本設計をする前に関係者を集めて読み合わせを実施する

一般的に、要件定義は少人数で作成され、その後の設計工程では人員が増えることが多いです。また、要件定義を作成した会社と設計を担当する会社が異なる場合もあります。このような場合、要件定義を共有するだけでなく、関係者を集めて読み合わせを行うことで認識のズレを防ぎ、開発をスムーズに進めることができます。

その際、単に項目を読み上げるのではなく、記載されていない背景や仕様検討の経緯も説明することが重要です。

⑥スケジュールなどの情報を共有する

プロジェクトを進めるためには、ロードマップを明確にし、開発チーム全員で共有することが重要です。スケジュール管理や運用開始後の体制計画も欠かせません。また、要件定義の成功にはプロジェクト管理が不可欠です。すべての工程にスケジュールを設定し、遅れや漏れを防ぐことが求められます。プロジェクト管理を適切に行うことで、遅延やトラブルが発生した際にも迅速に対応できます。タスク管理ツールやプロジェクト管理ツールを活用すると効率的です。

⑦誰が見ても理解がしやすい要件定義書を作成する

要件定義書は、関係者全員が理解できるように作成することが重要です。
異なる専門分野を持つ関係者間で認識のズレを防ぐため、明確で簡潔な内容にします。

システム開発の成功には、要件定義とプロジェクト管理が不可欠です。
要件が決まったら、要件定義書を作成し、開発メンバーと共有することが重要です。要件定義書には、以下を含めます:

・概要と構想 – システムの目的や全体ビジョン
・ユーザー要求と必須要件 – ユーザーの要望や必要な機能
・目標や目的 – システム導入の目的とメリット

また、使用する開発ツールの確認も必要です。

システム開発の要件定義に必要なスキル

要件定義を行うには、以下のスキルや知識が求められます。

・クライアントの業務や業界に関する深い理解
・ITに関する専門知識と技術力
・円滑に情報を引き出し、意思疎通を図るためのコミュニケーション能力
・これらのスキルを継続的に磨くための学習と実践力
・プロジェクトの進捗状況や今後の計画を関係者と明確に共有する
・実現可能で具体的なシステム設計を提案するスキル

業務や業界についての知見

システム開発には高いスキルが求められますが、それだけでは不十分です。
業務や業界への理解がなければ、ユーザーの要望に合ったシステムは作れません。そのため、開発担当者や責任者は、ユーザーの業務内容を事前に調査・把握することが大切です。

また、効果的に理解を深めるには、ユーザーと良好な関係を築くことが重要です。ヒアリングや打ち合わせの段階で積極的にコミュニケーションを図り、業務課題や要望を詳しく聞き出しましょう。

ITスキル

要件定義では、ユーザーの要求が実現可能かどうかを見極める必要があります。そのためには、十分なITスキルが欠かせません。専門知識が不足していると、実現の可否を正確に判断するのは難しいでしょう。

このスキルは開発者だけでなく、発注者であるユーザー側にも求められます。発注者がIT知識を持たないと、仕様や機能の実現性を判断できず、要件定義が円滑に進まなくなる恐れがあります

コミュニケーションスキル

要求を引き出すには、ヒアリング力やコミュニケーション能力が欠かせません。
これらはユーザーの意図を正確に把握するために必要なスキルです。たとえユーザーが事前に要望を整理していたとしても、対話を通じて本人が気づいていない潜在的なニーズが見つかることもあります。こうした要求を引き出して明確にすることで、より完成度の高いシステム開発が可能になります。

また、実現困難な要望については、誤解を防ぐためにも実現が難しい理由をユーザーにしっかりと説明することが大切です。

要件を正確に情報を伝えるスキル

要件定義の担当者がシステム設計をイメージしているだけでは不十分です。そのイメージを開発メンバーに正確に伝えることが重要です。そのためには、要件定義の内容を文書化し、わかりやすく伝えるスキルが必要です。

文章だけでなく、図やフローチャートなどの視覚的な要素を活用することで、情報をより効果的に伝えることができます。開発メンバーにとって理解しやすい形で情報を提供することが、プロジェクトの成功に繋がります。

スケジュール管理能力

スケジュール管理や運用開始後の体制計画は欠かせません。
要件定義で失敗しないためには、適切なプロジェクト管理が必要です。管理を徹底することで、全工程のスケジュールを把握し、遅延やトラブルが発生した際にも迅速に対応できます。

実現可能な要求の内容を設計していくスキル

ユーザーからの要求をまとめた後は、その内容を細部まで設計できるスキルが求められます。要件定義の担当者が実現可能だと判断して発注しても、いざ開発に入ると実装が困難で開発チームが苦労するケースは珍しくありません。

そのため、要件定義の段階で開発側が実現可能な範囲をしっかりとイメージし、それを踏まえて仕様を固めることが重要です。開発の現実性を考慮した設計ができれば、後工程での手戻りやトラブルを防げます。

システム開発の要件定義に必要なスキルを向上させる方法

要件定義に必要なスキルを磨くには、以下の取り組みが効果的です。

・ITに関する知識や技術を継続的に学び、理解を深める
・ヒアリング技術を向上させるためのトレーニングを行う
・文章作成力やアウトプットスキルを磨き、わかりやすく的確に伝える力を養う
・準備段階で業務や業界について徹底的にリサーチする
・定期的にレクリエーションや交流イベントを実施し、チームワークやコミュニケーション力を高める

ITスキルを学ぶ

要件定義を作成するためには、ITスキルが不可欠です。
業務や業界の知識がいくら豊富でも、要求された内容が技術的に実現可能かどうかを判断するには、ITに関する知識が必要です。

そのため、担当者はIT技術の進化に追いつき、常に学び続けることが重要です。
技術的な理解を深めることで、要件定義の正確さと実現性が高まります

ヒアリング技法を磨く

要件定義では、ユーザーの要求を正確に理解することが最初のステップとなり、それによって適切な提案や内容の調整が可能になります

そのため、ヒアリング技法を磨くことが重要です。自分が話すことが好きな人は、日常の会話でも相手の話をよく聞き、相手から情報を引き出す意識を持つことが役立ちます。

文章力をつける

要件定義の内容を開発メンバーに伝えるためには、文章力とアウトプット能力を高めることが重要です。大切なのは、わかりやすく伝えることなので、できるだけ中高生でも理解できるような表現を心がけましょう。堅苦しい言葉を使いがちな人は、柔らかい言葉を意識して使うようにしてみてください。

普段から文字をアウトプットする習慣がない場合は、時事ニュースに対する自分の意見をまとめることから始めると良いでしょう。

業務・業界の知識を深める

ヒアリングが終わった後、次はユーザーの要求に対する提案を行いますが、そのためにはユーザーが働いている業務や業界についての理解が必要です。

したがって、提案をする前に業務や業界に関する情報をしっかりと調査することが重要になってきます。過去に似た業務や業界で行われたシステム開発の事例があれば、それを参考にするのも良い方法です。

レクリエーションを通じてメンバー同士の仲を深める

レクリエーションとは、業務以外で楽しみや気分転換を目的とした活動全般を指しており、要件定義の担当者と開発メンバーとの関係を深めるためには、それらのレクリエーションが有効です。

要件定義は単にユーザーの要求をまとめる作業ではなく、その内容を開発メンバーに正確に伝えることが重要です。円滑に情報を伝えるためには、担当者と開発メンバーとの間に良好な人間関係を築くことが欠かせません。

学校のグループワークで友達ができるように、レクリエーションを活用してお互いに話しやすい関係を築いていきましょう。

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この記事を書いた人について

神川智子
神川智子
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社

一児の母として子育てに奮闘しながら、オーシャン・アンド・パートナーズの代表者および技術チームメンバーの補佐に従事。
実務の現場に寄り添い、日々の会話や支援を通して見えてきた“リアル”を、等身大の視点でお届けしています。