システム開発を外注先に丸投げすると生じるトラブルとは?失敗しないポイントや外注先選びのポイントを解説

2025/04/23

システムの導入を検討していませんか?しかし中にはシステム開発するために必要な知識やスキルを持った人材が社内にいない、という法人も多いでしょうね?適当な人材がいなければ、外注に委託しようと思うのも無理もありません。

しかしシステム開発を外注で丸投げしてしまうのは、大変危険です。ここではシステム開発を外注で丸投げしてしまう危険性やデメリットについて、紹介します。システム開発するにあたって、押さえておきたいポイントについてもまとめましたので参考にしてください。

システム開発を外注するメリットデメリット

システム開発を外注する方法も一つあります。しかしシステム開発する場合、メリットデメリット両面あることは理解しておきましょう。まずはシステム開発をアウトソーシングする主なメリットとデメリットについてまとめました。

メリット

システム開発を外注するメリットとして大きいのは、自分たちで人的リソースを準備する必要がなくなる点です。担当者への研修や情報のアップデートをする必要がなくなり、関連するコストを圧縮できます。

開発を委託すれば、高い専門性や技術を有する人間に作業を任せられるのもメリットの一つです。システムに関する専門家なので、最新情報やトレンドにも精通しています。

リソースの調整をフレキシブルにできるのもメリットと言えます。プロジェクトを大きくしたり、縮小したりする際にも自社と比較して簡単に対応できるのも強みです。

中小企業など、システム開発に割けるリソースがないというところも多いでしょう。外注すればシステム開発の作業は外部に任せ、自分たちは主要な業務に専念で経営効率性の向上が期待できます。

デメリット

システム開発を外注するデメリットとして無視できないのは、スムーズに作業が進まない恐れのある点です。開発以外にも管理や運用、トラブル対応も外部企業に任せなければなりません。コミュニケーションがスムーズにいかないと手間のかかる可能性があります。

システム開発をアウトソーシングすると、自社で開発や運用のノウハウが蓄積されないのもデメリットです。社内でプロジェクトの全体像を把握しきれないのも問題になるかもしれません。外部に任せることで、社内の機密情報が漏洩する危険性も配慮しなければなりません。

システム開発を外注先に丸投げすると生じるトラブル

システム開発を外注先に一任する際、内製と比較してトラブルが起こりやすい点も留意しなければなりません。具体的にどのようなトラブル要因をはらむのか、主な点についてまとめましたので丸投げする前にご一読ください。

タイトなスケジュールになる

スケジュールがタイトになる恐れがある点は留意する必要があります。修正が必要になることで当初想定されていた納期に間に合わない、納品が後回しになることで追加コストの発生するリスクも想定しなければなりません。

システム開発のスタイルは何種類かあります。その中の一つがウォーターフォール開発です。プロジェクトの各プロセスを順番通りに進めるシステム開発の手法です。順番に進めるので全体像を把握しやすい半面、後戻りできない点に注意しましょう。開発途中で仕様変更したくてもできないといった点にも留意してください。

プロジェクト管理が困難になる

丸投げするリスクとして、マネジメントが難しくなる点もトラブルになりがちです。進捗状況やトラブルの有無も外注先任せになるからです。

外注先の中には、孫請けへさらに投げっぱなしにしてしまうところも見られます。すると自分たちの思っているようなシステムができずにトラブルになるかもしれません。孫請けへの丸投げはあるのか、契約前に担当者に確認を取っておくと良いでしょう。

ベンダーロックインになる

ベンダーロックインとは、丸投げ先にすべて依存してしまう状況のことです。自分たちが対象のシステムを把握していないので、何か起きたらアウトソーシング先に頼りきりになるでしょう。すると現在利用しているベンダー先から別のところに乗り換えが難しくなるわけです。

ベンダーロックインはデメリットもある一方、メリットもあります。長いお付き合いになるので自分たちのことを理解したシステム開発や運用をお願いできるのはメリットです。お付き合いが長くなれば、なにか問題が起これば気軽に相談できます。外注先を選ぶ際には長いお付き合いを前提にして、信頼できるところを慎重に吟味しましょう。

システム開発を外注先に丸投げすると危険な理由

システム開発をアウトソーシングへ一任するのは、極力避けるべきだと思ってください。なぜ丸投げするのがおすすめできないのか、以下で紹介するようなリスク要因があるからです。どのようなリスクが起こりやすくなるのか、主なファクターについてまとめました。

以下で紹介するホワイトペーパーにおいても、ベンダー企業に一任してはならない理由について言及しています。

こちらの情報も参考にして、システム開発のアウトソーシングを検討してください。
次期システム開発体制を立ち上げる時に知っておく7つのトレンド「第5章 主導権はユーザ企業が握ること、の意味を考える」

プロジェクトの遅延や品質の低下を招く

丸投げしてしまうと、要件定義などベンダー側とうまく共有できない恐れがあります。結果、納品されても自分たちがイメージしていたものとはまるで異なるシステムができあがりかねません。とくに技術的な部分や細かな用件で誤解が起こるとほしい機能が備わっていなかったり、操作性も悪く使い勝手が悪かったりなどの問題も起こりかねません。

途中で思わぬ問題が発生した場合、プロジェクトが当初想定していた納期までに間に合わなくなる恐れもあります。品質を満たさない、納期の遅延を招いた結果プロジェクトそのものが失敗に終わることもあり得ます。こまめに先方とコミュニケーションをとって、進捗状況を把握することが大事です。

手戻りと要件の追加に多額の追加費用が発生する

要件定義が先方との間で十分共有されていないと、手戻りが頻繁に起きたり、追加要件が発生したりします。結果的に追加費用が大量に発生して、当初の見積もりと実際の請求額が大きく異なることもあり得ます。場合によっては予算を大幅に超えてしまって、経営面で大きなダメージを受けかねません。

手戻りが頻発すれば、納品も遅れるでしょう。機会損失に伴う損害も想定しなければなりません。

トラブルの処理に社内リソースが浪費される

システム開発の中でもリスクマネジメントを一任すると予期せぬトラブルが発生した場合、迅速な対応ができなくなるのも危険要因です。システムが復旧せず、時間が経過するほど企業は大きなダメージを受けます。

トラブルの原因がわからないと、人的リソースを集中しなければなりません。すると中核事業に十分なリソースを確保できなくなり、作業効率の低下を招きかねません。ほかの業務や事業にも悪影響を及ぼしかねない点は留意しておきましょう。

社員のモチベーションが低下する

丸投げによってシステムそのものが失敗したり、予期せぬトラブルが発生したりするリスクが増大するのは先に紹介した通りです。問題が頻発すれば、従業員のモチベーション低下につながりかねません。士気の低下で作業効率性が低下する、最悪離職を招きますます仕事が回らなくなる恐れも出てきます。

丸投げした結果システムがうまく機能しないと、対象のシステムだけに問題がとどまらないかもしれません。余計な出費を強いられたり、従業員の離職を招いたりすることで企業経営そのものを危機にさらすこともあり得ます。外注先に開発を任せるのであれば、細心の注意を払い、コミュニケーションを密にして情報共有することが大事です。

システム開発で失敗しない9つのポイント

システム開発を外注するのはいろいろなリスクを伴います。一方で中小企業など人的リソースに制約のある法人は、アウトソーシングに頼らざるを得ません。外注する際、成功するために押さえるべきポイントがいくつかあります。主なポイントについて詳しく見ていくので、アウトソーシングを検討している企業は参考にしてください。

①最低限把握しておきたい知識は習得しておく

システム開発を外注する際には、必要最小限の専門知識はこちらも頭に入れておきましょう。外注先にお任せすると言ってもこちらがシステムに関して何も理解していないと、思うような成果物が納品されない恐れも出てくるからです。先方とのコミュニケーションにも齟齬をきたす恐れがあります。

完璧でなくても基本的な専門知識が頭に入っていれば、要件定義や希望する機能などの情報共有もスムーズになるでしょう。システム開発の基本的な手順やアプローチ、技術などの専門用語はあらかた頭に入れておくべきです。とくに開発の手順やアプローチは重要なので、担当者はきちんと頭に入れておくべきです。任せきりではなく、自分たちもシステム開発に関する理解を進めておきましょう。

②目的とゴールを明確にする

システム開発を外注する際に、その目的とゴールをどこに設定するか検討しておきましょう。言い換えれば、どのようなシステムを求めているかに対する回答を準備することです。

クライアントの中には「システムについてはよくわからないから」と、要件定義から何まですべてお任せする場合もあります。アウトソーシング会社はあくまでもシステム開発の作業を担当するだけです。どのようなシステムをつくのかは、クライアントの考えるべきことです。

どのようなシステムを必要としているのかが明確でないと、どれほど実績のある外注先でも満足できる成果物を作れません。現在のシステムのどこに問題があり、どのように改善したいのかを明確にしておきましょう。

③要件定義を明確に行う

システムで何ができるようになりたいのか、具体化したものを要件定義と言います。システム開発成否のカギを握っているので、この部分は明確にしておきましょう。要件定義が不明瞭だと希望していたのとは異なる成果物ができあがってしまったり、仕様変更を繰り返したりする羽目になりかねないからです。

では具体的に何を明確にすべきか、まずは機能面です。システムで何ができるようになりたいか、まずは検討しましょう。社内で必要な機能を出し合いましょう。ただしすべての機能をシステムに反映するのは予算の理由などで難しい場合もあります。必要な機能を出し合った後で、何を必須で反映させるべきか優先順位をつけておくと良いでしょう。

もう一つ動作仕様に関してもシミュレーションしておきましょう。検討した機能がどうすれば動作するのかを検討することです。ほかにもセキュリティや性能なども必要に応じて検討してください。

④コミュニケーションをしっかり取る

丸投げすることなく、クライアントもシステム開発に携れるようにしたければコミュニケーションをしっかり取りましょう。希望する条件や指示出し、進捗状況の確認するためには先方と密にコミュニケーションを取る必要があるからです。

ただしいちいち外注先のオフィスに出向いたり、担当者に自社へ来てもらったりするとなると面倒です。手軽にコミュニケーションの取れるツールを導入しておきましょう。チャットツールやビデオ通話などを取り入れることで、その場でも密に意思疎通を図れます。

⑤複数社から見積もりを取って比較する

システム開発は一律でいくらといった料金体系ではありません。オーダーメイド方式のサービスなので、依頼する前に見積もりを取ってどうするか検討する必要があります。見積もりを取る際にはいきなり一つに絞り込むのではなく、複数のところで相見積もりを取りましょう。

相見積もりを取る際には、各社まったく同じ条件で見積書の作成を依頼することです。条件が異なれば、公正な比較ができないからです。見積もり依頼する前にどのようなシステムが欲しいのか、要件定義を明確にしておきましょう。

見積書を比較する際には、ただ単に金額だけで選ばないことです。極端に安い見積もりを提示した業者は、低品質の成果物を納品してくる恐れがあるからです。複数のところで見積もりを取れば、おおよその相場がわかります。たとえ安くても、相場からあまりにかけ離れた金額を提示してくるところは避けたほうが良いでしょう。

相見積もりを取る際には、あまり多くの業者に依頼すると見積もりを取るだけでも大変です。比較も大変になるので、ある程度絞り込みましょう。3~5社程度に絞り込んで相見積もりを取るのがおすすめです。

⑥契約内容を明確に記載する

依頼先が見つかれば、正式に契約を締結する形になります。しかし契約する際にその内容をしっかり確認して、その内容に納得してはじめてサインするようにしてください。

たとえば契約の種類は確認してください。システム開発の外注では、請負契約と準委任契約の2つに大別されます。請負契約は成果物にたいする報酬支払い、準委任契約は外注先の従業員の作業そのものに報酬を支払うスタイルです。

システム開発の外注では請負契約が一般的です。開発だけでなく、保守や運用までお願いする場合には準委任契約になるでしょう。契約の種類だけでなく、トラブルが発生した場合の責任の所在や知的財産権はどちらが有するかなども明文化しておくと良いでしょう。

さらに会社の重要な機密情報を取り扱います。そこで機密保持契約も交わしておきましょう。契約内容でわからない点や当初聞かされていた話と異なる条項があれば、担当者に必ず確認を取ってください。

⑦事前にリスクを洗い出し対策を講じる

信頼できるベンダー企業に外注しても、想定しなかったトラブルが起きる可能性はゼロにできません。そこでシステム開発の工程の中でどのようなリスクが想定できるか、最初の段階で洗い出しておきましょう。そして実際に対象のリスクが発生した場合にどう対処するか、シミュレーションしておきましょう。

リスクは多岐にわたります。スケジュールの遅延や予算オーバー、人的リスクなどいろいろです。潜在的なリスクを検討し、予備予算の設定やリスケジュールなどもシミュレーションしておくと、実際に問題が発生した場合でも影響を必要最低限に食い止められます。

⑧プロジェクトオーナーを立てる

プロジェクトオーナーを立てておくのも、満足いくシステム開発を進めるために必要です。プロジェクトオーナーとは、プロジェクト全体を統括するような司令塔的立場の人です。

よくプロジェクトマネージャーという言葉を耳にします。プロジェクトマネージャーは、スケジュール調整などプロジェクトの進捗に関するマネジメントを担当する人です。プロジェクトオーナーは追加予算の許可など、プロジェクトの途中で重要な決定をする人です。よってプロジェクト開発そのものには関わりません。

プロジェクトオーナーを立てることで、システム開発の途中で突発的なアクシデントが起きた場合でも迅速な対応が可能です。またプロジェクトオーナーが現状に即した的確な判断ができるように、オーナーをサポートするための体制づくりを進めましょう。

⑨保守・運用も視野に入れる

システムは開発して納品すればそれでおしまい、とはなりません。システムは運用することではじめてその機能を発揮します。もし保守や運用を担当する人的資源が社内で用意できなければ、外注先に委託する形になるでしょう。保守や運用を外注する場合、前もって見積もりを取っておきましょう。

保守や運用を任せるアウトソーシング会社が見つかったら、保守契約を作成しましょう。また社内で運用する場合には、運用マニュアルを作成することも重要なポイントです。マニュアルを作成しておけば、担当者が離職するなどで後任者を選定する際にもスムーズな引継ぎが可能になります。

システム開発で失敗しない外注先を選ぶポイント

システム開発を外注する場合、満足いくシステムになるかどうかどこに依頼するかは重要なポイントです。できるだけ安くシステム開発をお願いするのも重要なものの、以下で紹介するポイントも留意しましょう。

以下で紹介するホワイトペーパーにも、ベンダー企業選定で押さえておくべきポイントについてまとめられています。

こちらも参考にして、信頼できる外注先を見つけましょう。
次期システム開発体制を立ち上げる時に知っておく7つのトレンド「第 6 章 リーダーが知っておくべきシステムベンダの選定戦略」

実績は豊富か

先方の企業がこれまでどれほどのシステム開発事例を有しているかは、比較する際に押さえておきたいポイントです。実績豊富であれば、それだけさまざまなシステム開発に関するノウハウを有していると推測できるためです。ノウハウが豊富であれば、こちらの要望するシステムを納品してくれる可能性も高まります。

これまでの実績だけでなく、どのような分野に強みを持っているかもチェックしましょう。自社の業種や希望する機能に関する開発実績が得意であれば、希望するシステムを納品してくれるでしょう。

システム開発専門の業者であれば、自社サイトにこれまでの実績を掲載しているはずです。自分たちが希望するシステムに近い開発実績があるか、チェックしてください。サイトの情報だけでわからなければ、情報依頼書を作成して送付しましょう。会社の基本情報やこれまでの開発実績を記入してもらいましょう。

トラブル対応に強いか

どれほど実績のある会社でも、予期せぬトラブルが起きる可能性はあります。トラブルが発生した場合、迅速に対応できるような業者を選ぶこともリスクマネジメントの観点から重要です。こちらも、過去のトラブル事例について確認しておくと良いでしょう。

どのようなトラブルが発生したのか、原因は何でどのように対処したのかについて担当者に尋ねておきましょう。またトラブルが実際に起きた場合の連絡体制などについても、あらかじめ相談しておくと実際に問題が起きた場合でも安心です。

予定通りに完了してくれる

当初の予定通りにシステム開発を完了し、成果物を納品してくれる企業かどうかも選定のポイントです。もしスケジュールが遅れてしまうと、それだけビジネスチャンスを逸したり、会社が損害を被ったりするリスクも高まるからです。そのためには徹底したスケジュール管理に関して重視しているベンダーを選びましょう。

とくに要件定義や設計工程に十分時間をかけてくれるような企業はおすすめです。どれほど実績のあるベンダーでも、想定外のトラブルの起きる可能性は十分想定できます。トラブルが起きた場合を想定して、ゆとりのあるスケジュール設定できるような企業も信用できるベンダーと言えます。

システム開発にお困りの方はオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社まで

中小企業はじめ、システム開発に人的リソースを割くのがなかなか難しい法人もあるでしょう。その場合、外注にお任せするのも一考です。ただし丸投げすると、自分たちがシステムに関して把握していないなどの不都合が生じやすくなります。ここで紹介したポイントを押さえて、外注する場合でも自分たちが積極的にかかわることが大事です。

 オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社では「基幹システム再構築の成功法則大全」と呼ばれる情報商材を配布しています。基幹システムの再構築は困難を伴うといわれていて、成功率は3割というデータもあるほどです。残りの7割はプロジェクトが途中で行き詰ったり、完成しても思うようにシステムが動作しなかったりするといわれています。

こちらも参考にして、外注先と連携しながらシステム開発を進めませんか?

レポート「基幹システム再構築の成功法則大全」のお知らせ | システム投資の本質

この記事を書いた人について

神川智子
神川智子
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社

一児の母として子育てに奮闘しながら、オーシャン・アンド・パートナーズの代表者および技術チームメンバーの補佐に従事。
実務の現場に寄り添い、日々の会話や支援を通して見えてきた“リアル”を、等身大の視点でお届けしています。