「正しそう」に騙されない。
判断できる状態が、基幹刷新の成否を分けた。

判断できない状態から始まったプロジェクト
分譲マンションの手付金保証事業で高いシェアを持つ同社は、分譲マンションの手付金保証で国内トップクラスのシェアを持つ同社。
信用保証という性質上、「正確性」と「即時性」が求められる業務です。
しかしシステムは、
- 30年前の仕組みを引き継いだ構造
- 市場変化に対応しきれない柔軟性
- 将来拡張への不安
といった課題を抱えていました。
そこで全面刷新を決断。
ただし、ここで最初の壁に直面します。
プロジェクト責任者は業務のプロだが、ITは未経験
つまり、何をどう決めるべきか分からない状態からのスタートでした。
本質的な論点は「何を作るか」ではなく「何を選ぶか」
このプロジェクトで求められていたのは、
- どんなシステム構造にするか
- どこまでセキュリティを担保するか
- どのベンダを選ぶべきか
- その費用は妥当なのか
といった、意思決定の連続です。
しかし、
- システムの価格は見えない
- ベンダは自社都合で提案してくる
- 「安い=良い」とも限らない
という状況では、判断軸がなければ、すべてが正しく見えてしまうという問題がありました。
判断できる状態をつくるためのアプローチ
当社は、特定の結論を提示するのではなく、
意思決定に必要な材料を整理し、判断できる状態を整えることに取り組みました。
具体的には
- 業務の整理と「あるべき姿」の言語化
- 要件定義による判断基準の明確化
- セキュリティ・構成の選択肢提示
- 開発費の概算と「相場感」の提示
- 経営層への説明支援(意思決定の場づくり)
- ベンダ選定の評価・論点整理
- 開発中の監理・交渉支援
それぞれの判断に納得できる材料を揃えることを重視しました。
重要なのは、すべての意思決定に“根拠”を持たせたことです。
「うまいプレゼン」に左右されない意思決定
象徴的だったのが、開発会社の選定です。
あるベンダは非常に流麗なプレゼンを行い、一見すると最有力に見えました。
一方で、内容を精査したところ、
- 要求仕様を満たしていない点
- 初期費用は安いが保守費が割高な構造
が見えてきました。
その結果、最終的には別のベンダを選定する判断に至りました。
表面的な印象ではなく、内容に基づいた比較検討ができたことが大きなポイントです。
判断を積み重ねたことで、プロジェクトはぶれなかった
プロジェクト中には、
- 開発メンバーの離脱
- スケジュール変更
といった想定外の出来事もありました。
それでもプロジェクトが崩れなかったのは、判断軸が最初に定まっていたからです。
最終的に約1年半の開発期間を経てシステムは完成。
- 予定した仕様
- 想定した予算
の範囲でリリースされました。
判断できる状態がもたらした変化
当初はITに関する経験が限られていたプロジェクト責任者も、プロジェクトを進める中で理解を深め、
- システムに対する理解が深まり
- 開発会社とのやり取りもスムーズになり
- 経営層への説明も自ら行える状態へと変化していきました
判断できる状態が整うことで、プロジェクト全体への理解も自然と深まるという副次的な価値も生まれました。
この事例の本質
このプロジェクトの成功要因は、優れた技術でも、優秀なベンダでもありません。
判断を他人任せにしなかったこと、そして「判断できる状態」を関係者で共有したことです。
ITプロジェクトの成否は、作る前の意思決定でほぼ決まります。
私たちは、その判断を支えるために存在しています。


















