経営者だからこそ「IT」と向き合うべき理由

最近「ビジネスのデジタル化」という言葉が、IT系企業からどっと溢れています。この「デジタル」について日本情報システム・ユーザー協会によれば次のように定義されています。
「IT の進化により、様々なヒト・モノ・コトの情報がつながることで、競争優位性の高い新たなサービスやビジネスモデルを実現すること、プロセスの高度化を実現すること」
さて同協会の調査では、特に大企業でデジタル化が急速に進展、7 割が実施されているそうです。

さらに興味深いのは、製造業は「生産管理の高度化」、非製造業は「新ビジネス」に取り組むというトレンドが見られることです。
製造業や「建築・土木」の分野でデジタル化の中心になっているのは「生産管理の高度化」です。これを代表的な取り組みテーマとして選んだ企業は「素材製造」で 54.5%、「機械器具製造」で 41.0%、「建築・土木」で 37.0%に上ります。IoT(インターネット・オブ・シングズ)を導入して生産設備の稼働状況を可視化したり、工事現場の施工状況を把握したりすることで、生産性を向上させるといった取り組みが進んでいると推測できます。
一方、非製造業が注力しているのは「新ビジネス・サービス・商品化」です。「金融」では 46.9%、「社会インフラ」では 42.5%など、半数近くの企業が代表的な取り組みテーマに挙げています。ビッグデータや AI(人工知能)などの活用によって、新たなビジネスモデルを創出する動きが盛んになっています。
上記によれば製造業はIT装置産業であり、非製造業においてはITがビジネスそのものであるということを示されています。もはや経営者にとってのITは現場に任せるものではなく、自ら率先して取り組むべきテーマと言えるでしょう。
そして「攻めのIT経営」という標語が存在する一方で、経営者による「IT苦手の壁」という言葉も生まれています。IT社長であればまだしも事業会社の社長が、本業のビジネスに加えてITを理解するのは至難の業でしょう。ITは技術の変化が早く、専門分野が多岐に渡り、それぞれが深い、という特徴があるからです。これを一朝一夕にキャッチアップするのは容易なことではありません。それでは経営者が抑えるべきITのエッセンスとは何でしょうか?
それは経営者でしか為しえないIT経営の舵を切ることではないかと筆者は考えます。具体的に例を挙げると、
1.コスト勘定から投資勘定への意識切り替え
企業が人材採用や教育に投資するのと同じように、IT導入や拡張も投資と見なして会社全体の方針とする。ITをできるだけ抑えたい経費の範疇として捉えるのではなく、企業のビジネス戦略の資源として捉え、組織の末端まで意識を浸透させること。
2.ITエンジニアの尊重
自社のIT組織はコストセンターではなくプロフィット部門であり、組織を構成するエンジニア一人一人のキャリアパスが明確に描かれている。またエンジニアの属性・特性をよく理解し、自らがこれを尊重し、そのマインドを社内の末端まで浸透させること。
筆者が考える2大ポイントを書いてみました。経営者はITの技術を理解する必要は無いと考えています。そのかわりにITがもたらす情報の重要性を理解し、自社とっての優先度を高めること。また前コラムに記載したシステムの内製化やIT内製といった取り組みも経営者が方針を示すことから始まるのではないかと思います。
文責:谷尾 薫 オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社
企業のシステム内製化コンサルティング
この記事を書いた人について

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オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役
協同組合シー・ソフトウェア(全省庁統一資格Aランク)代表理事
富士通、日本オラクル、フューチャーアーキテクト、独立系ベンチャーを経てオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社を設立。2010年中小企業基盤整備機構「創業・ベンチャーフォーラム」にてチャレンジ事例100に選出。
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